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ヘルペス角膜炎による角膜混濁に対する深層表層角膜移植

島崎潤 (東京歯科大学市川総合病院)

Posted Aug 2018
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疾患名:左)ヘルペス角膜炎後、混濁
 この方は、以前にヘルペス角膜炎を繰り返し、角膜混濁となった為、今回上記手術を行った。麻酔の効きが若干悪かった為、始めにテノン嚢麻酔を追加したが、若干眼球運動が残った状態であった。始めに7.5mmのトレパンで8回転させ、かなり深めの切開を置いた。前房内にサイドポートから少量のヒアルロン酸とエアーを入れておき、11時の位置から27ゲージ針で前房内の空気の反射をみながら中央付近まで針を進めエアーを注入した。この操作により角膜は白濁したが、前房内の空気が周辺に圧排されたことがみられbig bubbleが形成されていたことが判明した。混濁が強く詳細が不明である為表層角膜を半層程度切除した。中央から形成されたbig bubble内にゴルフ刀で穿破し、そこから粘弾性物質を入れたところスペースが拡張されたのが確認された。島﨑式のDALKスパーテルを耳側に入れ、メスで垂直に実質を切開。そこからカッチン剪刃で時計回りに実質を切除して行った。この操作中、僅かであるが前房内のエアーと房水の漏出が認められた為、デスメ膜の存在を確認しつつ、慎重に操作を進めて行った。前房は浅くなったがBSS及び粘弾性物質で消失することはなかった。結果的に実質は全周に亘って切除された。再度BSSプラスをサイドポートより入れたが、明らかな漏出ポイントは認められず、上方のどこからか僅かずつ漏れているような状態であった。デスメ膜を除去したgraftをのせ、8針の端々縫合を置き、20針の連続縫合を追加した。手術顕微鏡のスリットで確認しても二重前房は無かった。連続縫合の前に前房内にエアーを入れ、操作を行い手術の最後にこれを約半分程度まで除去した。術終了時、前房は深くgraftの透明性は良好で、adjustも十分行うことが出来た。